体言止めは、文末表現を豊かにするテクニックのひとつです。
うまく活用することでリズムのよい文章になり、読者に重要なポイントを伝えることもできます。
ただし、使い方を間違えると逆効果になってしまう可能性もあるため注意が必要です。
この記事では、
- 体言止めの効果
- 体言止めの適切な使い方
などについて解説しますので参考にしてください。
目次
体言止めとは?
体言止めとは、文末を
- 名詞
- 代名詞
- 数詞
といった体言で終わらせる表現方法のことです。
国語の授業では俳句や短歌の表現技法のひとつとして習ったかもしれませんが、小説やエッセイ、雑誌などの文章でも用いられます。
体言止めを使った例文を見てみましょう。
文末が名詞や代名詞となっているため、単純な「ですます調」の文章とは異なる雰囲気を感じますよね。
次の章では、体言止めの効果について具体的に確認しましょう。
例文で解説!体言止めによる3つの効果
体言止めを使うことで、次のような効果を得られます。
- 「ですます調」の文末表現が豊かになる
- 読者に重要なポイントを伝えられる
- ダラダラとした文章がシャープになる
それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。
1.「ですます調」の文末表現が豊かになる
文末表現が豊かになることは、体言止めによる効果のひとつです。
とくに「ですます調」で文章を書くときは、
- です
- ます
- ました
など、文末表現が限られているため、リズムが単調になってしまうケースも多いでしょう。
たとえば、次の文章を読んでみてください。
文末がすべて「ました」で終わっているため、リズムが単調で、少し幼稚な文章になっていますよね。
体言止めを用いて、次のように改善してみましょう。
2つ目の文を体言止めにしたことで文末のバリエーションが増え、表現豊かな文章になりました。
さらに、体言止めによって「モネの絵」が強調され、感動したポイントが明確になっています。
2.読者に重要なポイントを伝えられる
体言止めを効果的に使うことで、読者に重要なポイントを伝えることができます。
次の例文を読んでみてください。
文章の意味は理解できますが、重要なポイントがわかりにくいですよね。
体言止めを使って、以下のように改善してみましょう。
体言止めを使うことでリズムが変わるため、読者に注意を与えられます。
ここでは3つ目の文を体言止めにして、「ターゲットの明確化」が重要であることが読者に伝わるようにしました。
3.ダラダラとした文章がシャープになる
体言止めには、文章をシャープにする効果もあります。
次の例文を読んでみてください。
文が長すぎてダラダラとした印象を受けますよね。
次の例文のようにシャープにしてみましょう。
体言止めを使って2つの文に分けました。
もちろん他の文末表現を使って分割してもOKですが、体言止めを使うとシャープな印象になるため、状況に合わせて活用しましょう。
例文で解説!体言止めの効果を最大化する2つのポイント
ここまで紹介したように、体言止めには多くの効果がありますが、とにかく使えばよいというわけではありません。
体言止めの効果を最大化するためには、次のようなポイントに注意しましょう。
- 読者に負担を与えない
- 連続して使わない
以下、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.読者に負担を与えない
体言止めを使うと、読者に負担を与えてしまうケースもあります。省略されている部分を、読者が補完しなければならないからです。
たとえば、次の文を読んでみてください。
体言止めによって文末が省略されていますが、
- リリースされる
- リリースされた
のどちらなのか、判断しにくいですよね。
文脈から簡単に判断できるなら問題ありませんが、わかりにくい場合は、読者が混乱しないように配慮することが大切です。
たとえば、次のように書けば読者の負担を減らせます。
「予定」と書いておけば未来のことだと判断できますし、「この前の」と書いておけば過去のことだと判断できますよね。
この改善例のように、読者のストレスを減らすことが大切です。内容が伝わりにくくなるなら、体言止めを無理に使う必要もありません。
2.連続して使わない
体言止めを使うことによって、文章のリズムを改善したり、読者に注意を与えたりできますが、連続して使うのは避けましょう。
次の例文を読んでみてください。
体言止めが連続しておりスピード感はありますが、「です」や「ます」が連続するのと同様、少し幼稚な印象も受けます。
次のように改善してみましょう。
文末のバリエーションが豊かになり、伝えたい部分も明確になりました。
体言止めの乱用は避け、スパイスのように使うようにしましょう。
体言止めを適切に用いてリズムのよい文章を書こう!
今回は、体言止めの効果や適切な使用方法について解説しました。
体言止めを用いることで、文末表現を豊かにしたり、読者に重要な部分を伝えたりできますが、使いすぎると幼稚な文章になってしまいます。
体言止めの効果を最大化できるよう、ここぞという場面で使うようにしましょう。
文末表現については次の記事でも解説していますので、ぜひチェックしてください。
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