形式名詞とは?意味や見分け方をわかりやすく解説

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形式名詞とは?

形式名詞とは、実質的な意味をもたない名詞のことです。

この記事では、

  • 形式名詞の見分け方
  • よく使われる形式名詞
  • 形式名詞と実質名詞の違い

などについて詳しく解説します。

形式名詞とは?

形式名詞は名詞の一種で、次のような特徴をもっています。

形式名詞の特徴
・実質的な意味がない(または、本来の意味が薄くなっている)
・連体修飾語と一緒に使われる
・ひらがなで表記するのが一般的
・単体では主語にならない

以下、具体例を挙げながら見ていきましょう。

よく使われる形式名詞一覧【例文付】

よく使われる形式名詞は、次のとおりです。

こと

例文
「私の趣味は絵を描くことです。」

もの

例文
「文章とは自由なものだ。」

わけ

例文
「電池が切れていた。どうりで動かないわけだ。」

はず

例文
「彼は17時頃に到着するはずです。」

うち

例文
「晴れているうちに帰ろう。」

ところ

例文
「考えてみたところ、それは不可能です。」

つもり

例文
「この仕事は今日中に終わらせるつもりだ。」

例文
「いくら探しても欲しいがない。」

ため

例文
「時間がかかるため、先に行ってください。」

ひと

例文
「本が好きなひとと仲良くなりたい。」

ほう

例文
「前者より後者のほうが効率的だ。」

とおり

例文
「彼の言うとおりだと思う。」

形式名詞には実質的な意味がない

形式名詞には、実質的な意味はありません。

または、本来の意味がかなり薄れています。

先ほどの例文「私の趣味は絵を描くことです。」の中の「こと」には、とくに意味はありません。

また、例文「考えてみたところ、それは不可能です。」の中の「ところ」には、「場所」という本来の意味はないですよね。

コノハ
コノハ

このように、形式名詞はそれ単体では意味をもたず、節を名詞化することで全体の意味を伝える役割をもっています!

名詞は形式名詞と実質名詞に分けられる

名詞は、形式名詞と実質名詞に分けられます。

実質名詞は、その名のとおり実質的な意味をもつ名詞です。

次の例文を読んでみてください。

例文
「私が彼を嫌いなわけはこれだ。」
「私はようやくことの難しさを実感した。」

この例文中の「わけ」には、「理由」という意味があるため、形式名詞ではなく実質名詞といえます。

実際に、「わけ」を「理由」に置き換えても文が成立しますよね。

同様に、上の例文中の「こと」には、「物事」や「出来事」という意味があるため、これも実質名詞といえるでしょう。

形式名詞の見分け方を3つのポイントで解説

形式名詞と実質名詞を見分けるポイントは以下の3つです。

形式名詞の見分け方
1.形式名詞は連体修飾語と一緒に使われる
2.形式名詞はひらがなで表記するのが一般的
3.形式名詞は単体では主語にならない

それぞれのポイントを詳しくみていきましょう。

1.形式名詞は連体修飾語と一緒に使われる

形式名詞はそれ単体では意味をもっていないので、通常、連体修飾語と一緒に使われます。

連体修飾語とは、体言を修飾する言葉です。

先ほどの例文「文章とは自由なものだ。」の中では、形式名詞「もの」は、連体修飾語「自由な」と組み合わせて使われています。

同様に、例文「この仕事は今日中に終わらせるつもりだ。」の中では、形式名詞「つもり」は、連体修飾語「終わらせる」と一緒に使われています。

一方で、実質名詞は以下の例文のように単独でも使えるのが特徴です。

例文
ところが変われば習慣も変わる。」
わけを話す。」

2.形式名詞はひらがなで表記するのが一般的

形式名詞は、ひらがなで表記するのが一般的です。

形式名詞には実質的な意味がないので、次の例文のように漢字で書くと少し違和感があるでしょう。

例文
「私の仕事は文章を書くだ。」
「天気予報の通り、雨が降ってきた。」

ただし、絶対に漢字で書いてはいけない、というわけではありません。

形式名詞を漢字で書いたとしても意味は十分通じるのでOK、という考え方もあるでしょう。

一方、実質名詞は、漢字で書いてもひらがなで書いても問題ありません。

例文
が変われば習慣も変わる。」
を話す。」

3.形式名詞は単体では主語にならない

形式名詞は、それ単体では主語になりません。

以下のように、連体修飾語と一緒に使われ、節を名詞化します。

例文
「困ったときは相談してください。」

一方、実質名詞は、それ単体で主語になります。

例文
ときがきたら始めよう。」

形式名詞だけではなく補助動詞についても知っておこう

形式名詞と似た品詞に、補助動詞というものがあります。

  • ひらがなで書かれる
  • 実質的な意味をもたない

など、形式名詞と似たような特徴をもっています。

次の例文中の「いく」などがよく使われる補助動詞です。

例文
「僕はこのゲームを楽しんでいくつもりだ。」

文中の「いく」には、動詞本来の「行く」という意味はないため、一般的にはひらがなで表記されます。

補助動詞については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

形式名詞を正しく使って読みやすい文章を書こう!

以上、形式名詞の意味や見分け方を解説しました。

形式名詞と実質名詞を区別することで、読みやすい文章を書けるでしょう。

このサイトでは、シンプルでわかりやすい文章を書くためのさまざまなテクニックを紹介していますので、他の記事もぜひチェックしてみてください。

シンプルな文章を書くための8つのテクニック>>

読みやすい文章を書くための10のコツ>>

参考文献

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