「てにをは」は、文章を構成する重要な要素のひとつです。
「てにをは」の使い方を間違えると、意味が正しく伝わらないケースもあるため注意しましょう。
この記事では、「てにをは」の意味や正しい使い方について解説しますので、参考にしてください。
目次
「てにをは」とは?
「てにをは」とは、日本語における「を」「は」「が」といった助詞の総称です。
あとで詳しく解説しますが、以下のように「てにをは」以外にもたくさんの助詞があります。
- 格助詞(が・を・に・etc.)
- 接続助詞(から・たり・ながら・etc.)
- 副助詞(は・も・こそ・etc.)
- 終助詞(か・な・よ・etc.)
助詞は、単独で使われることはありません。名詞や動詞などと一緒に使われ、語と語の関係を表したり、意味を付け加えたりします。
普段、あまり意識せずに使っているかもしれませんが、使い方を間違えると意味が正しく伝わらない可能性もあるため注意が必要です。
「てにをは」の適切な使い方5つのポイント
「てにをは」を使いこなすためには、それぞれの助詞の役割を考えて使い分けることが大切です。
ここでは、「てにをは」の正しい使い方を5つのポイントで解説しますので、ぜひチェックしてみてください。
1.「が」と「は」を使い分ける
「が」と「は」の使い分けに悩むケースは多いでしょう。
次の2つの文を比べてみてください。
(1)の文からは、「複数の飲み物のなかで、コーヒーがとくに好き」という強い気持ちを感じますよね。
(2)の文からは、「コーヒーは好きだが、他の飲み物は嫌い」と、コーヒーに限定しているような印象を受けます。
文脈にもよりますが、1文字違うだけで全体のニュアンスが変わってしまう可能性もあるため注意しましょう。
2.「が」と「で」を使い分ける
「が」と「で」の使い分けも、悩みがちなポイントのひとつです。
以下の例文を読んでみてください。
(1)は、「今日や明後日ではなく、明日がよい」という強い意見のように感じられます。
(2)は、「今日でもよいし、明日でもよい」といったイメージで、(1)よりは控えめな意見に感じられるでしょう。
ただし、文脈や言い方によっては、投げやりな印象を与えてしまう可能性もあるため注意が必要です。
3.「へ」と「に」を使い分ける
「へ」と「に」は、どちらも目的地や方向を表す助詞ですが、ニュアンスは少し異なります。
例文で比較してみましょう。
(1)の文からは、「沖縄の方へ進む」というざっくりとした移動がイメージできます。移動の過程を想像させる表現ともいえるでしょう。
(2)の文からは、「沖縄を目的地として移動する」というはっきりとした意思が感じられますよね。
4.「が」の連続を避ける
内容に合わせて適切な助詞を選ぶことは大切ですが、文章全体として読みやすくすることも重要です。
とくに、同じ助詞が何回も連続すると、リズムが悪くなったり、ダラダラとした文章になったりするため注意しましょう。
次の例文を読んでみてください。
どちらの文中でも「が」が連続しており、堅い印象やくどい印象を受けますよね。
以下のように修正してみましょう。
5.「の」の連続を避ける
「の」も連続して使いがちですので注意しましょう。
少し極端な例ですが、「の」が連続しているため、以下のように修正してみました。
「の」は連続2回までにすると、読みやすい文章になるでしょう。
助詞は「てにをは」だけではない!4種類の助詞を例文付きで解説
助詞は「てにをは」の4つだけではありません。実は、30以上の助詞が存在しているのです。
また、助詞は大きく以下の4種類に分けられます。
- 格助詞
- 接続助詞
- 副助詞
- 終助詞
以下、それぞれの助詞について例文付きで解説しますので、チェックしておきましょう。
1.格助詞(が・を・に・etc.)
格助詞は、主に名詞と一緒に使われ、他の名詞や動詞との関係を表します。
格助詞には、以下のようなものがあります。例文とあわせて確認しましょう。
が
- 風が冷たい
- 猫が鳴く
- 最新のパソコンが欲しい
- ハンバーグが食べたい
を
- テレビを見る
- 仕事をする
- 傘をさす
- 道を歩く
に
- 東京にいる
- 彼に会いたい
- 実家に帰る
- 夜に活動する
- 先輩に教わる
- 社長になる
と
- 天国と地獄
- 彼女と話す
- 「いいえ」と言う
- 間違いだと思う
へ
- 学校へ行く
- 北へ向かう
から
- 明後日から始まる
- 窓から落ちる
- 友人から借りる
- 社長から怒られる
より
- 去年より暑い
- 私より強い
で
- 公園で遊ぶ
- 鉛筆で書く
- 1万円で買う
- 1年で完成する
- 怪我で休む
や
- 目や耳が痛い
- あれやこれや口出しする
の
- 彼女の本を借りる
- 先生の言うことを聞く
- 3回目のを採用する
2.接続助詞(から・たり・ながら・etc.)
接続助詞は、動詞や形容詞に付き、前後の語の関係を表します。接続詞のような役割をもっているのが特徴です。
接続助詞には、以下のようなものがあります。
から
- 値段が高いから買えない
- 親に注意されたから気をつけている
ので
- 寒くなってきたので家に帰る
- 暗いのでカーテンを開ける
ば
- 明日になれば結果がわかる
- 勉強もできれば運動もできる
と
- 確認しないと間違える
- 春になると花が咲く
- たとえ失敗しようと気にしない
ても
- いくら話しても理解してもらえない
- 暑くても我慢する
けれど
- 走ったけれど乗り遅れた
- 今日は暇だけれど明日は忙しい
が
- 試してみたが無駄だった
- 母は許してくれたが父には怒られた
のに
- メモしていたのに忘れてしまった
- 楽しみにしていたのに中止になった
て(で)
- 早起きしてランニングをする
- 小さくて便利なスマートフォンを買う
ながら
- 飲みながら会話をする
- 気づいていながら黙っていた
し
- 頭もよいし性格もよい
- 雨も降っているし風も強い
たり
- 食べたり飲んだりする
- 見たり聞いたりする
3.副助詞(は・も・こそ・etc.)
副助詞は、さまざまな語に付き、文の意味を限定したり強調したりします。
代表的な副助詞を紹介しますので、チェックしておきましょう。
は
- 兄はよく食べる
- 明日は晴れる
- ドラマは好きだがバラエティは嫌いだ
も
- 彼も仲間である
- 失敗しても大丈夫だ
- 遊びも勉強も大切だ
こそ
- 次こそ成功するはずだ
- 彼女こそ適任だと思う
さえ
- 資金さえあれば始められる
- 金曜に残業して土曜さえ出勤した
でも
- 誰でも簡単にできる
- 本でも持ってくればよかった
だって
- 誰だって失敗はしたくない
- 休憩だって必要だと思う
まで
- 朝まで起きていた
- 彼まで泣き出した
ばかり
- 仕事ばかりしている
- 5分ばかり待ってもらう
- さっき終わったばかりだ
だけ
- 父だけが持っている
- これだけで理解できる
ほど
- 文庫本ほどの厚さだ
- 彼ほど向いている人はいない
くらい(ぐらい)
- そのくらいで十分だ
- 3割ぐらいは理解できた
しか
- 妹しか食べなかった
- 残りは1つしかない
など
- 飲食などは禁止されている
- コーヒーや紅茶などが好きだ
4.終助詞(か・な・よ・etc.)
終助詞は主に文末で使われ、感情や態度などを表すのが特徴です。
終助詞には、以下のようなものがあります。
か
- 誰ですか
- うまく話せるだろうか
- なんと便利なことか
の
- 誰を呼ぶの
- いつ始めるの
な(なあ)
- 彼に会いたいな
- 今日は寒いなあ
- やはり失敗したな
ね(ねえ)
- とても賢いですね
- 今日は暑いね
よ
- 私は買ったよ
- カフェに行こうよ
- 仕事をしろよ
ぞ
- 注意しないと転ぶぞ
- それは間違いだぞ
な
- 今は動くな
- まだ食べるな
適切な「てにをは」を使って読みやすい文章を書こう!
今回は、「てにをは」の正しい使い方について解説しました。
たった1文字違うだけで、文章全体のニュアンスが大きく変わってしまう可能性もあります。読者に内容が正しく伝わるよう、適切な助詞を選ぶようにしましょう。
表現に迷うときは、
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