バーチャルオフィスは、住所や電話番号をレンタルできるサービスです。
バーチャルオフィスを利用することでさまざまなメリットを得られますが、業種によっては利用が認められていないケースもあるので注意しましょう。
この記事では、バーチャルオフィスの違法性や利用できない業種について詳しく解説します。
怪しいバーチャルオフィスを見分けるポイントも紹介しますので、利用を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください!
目次
バーチャルオフィスは怪しい?違法性はある?
「怪しい……」と思われることも多いのですが、バーチャルオフィスに違法性はありません。
住所を貸す相手側が違法行為を行う目的と知っていて住所を貸すのは問題ですが、住所を貸すこと自体は合法的なサービスです。
バーチャルオフィスの住所を借りて事業を行うことにも違法性はありません。
実際、バーチャルオフィスの住所や電話番号は法人登記に利用できます。
消費者の利益を守るためのルールを定めた特定商取引法に基づく表記としても利用が認められています。
ただし、多くのバーチャルオフィスがあるなかで、怪しいバーチャルオフィスも存在するため、どのような会社が運営しているのかを確認して慎重に選ぶことが大切です!
そもそもバーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスとは、実際の空間ではなく、住所や電話番号だけをレンタルできるサービスです。
「住所を貸す」というビジネスモデルに怪しいイメージがありますが、架空の住所ではなく、その場所にはバーチャルオフィスの運営事務所やレンタル会議室などがあります。
など、大手企業が運営するサービスも多く、コストを抑えられるなどのメリットがあるため利用する人も増えてきました。
怪しいバーチャルオフィスも存在する
利用者の審査を行わないような怪しいバーチャルオフィスも存在します。
バーチャルオフィスで住所をレンタルするなら、利用料金やサービス内容だけではなく、
- 実績
- 運営企業
- 口コミ・評判
なども含めてチェックしましょう。
犯罪に巻き込まれたり、急にサービスが終了したりすることがないよう、どのような会社が運営しているのか、しっかりと確認したうえで選ぶことが大切です。
バーチャルオフィスが怪しいと思われる3つの理由
バーチャルオフィスと聞いて、「怪しい……」「違法性があるのでは……?」と感じる人もいるかもしれません。
怪しいと思われる主な理由は、以下のとおりです。
それぞれの理由について順番に見ていきましょう。
1.バーチャルオフィスの住所が犯罪に使われるケースもあるため
2008年に犯罪収益移転防止法が施行されるまでは、契約時の審査において本人確認が必須ではありませんでした。
安い料金で手軽に借りられるため、バーチャルオフィスの住所が詐欺などの犯罪に使われるケースもあったのです。
バーチャルオフィスを悪用した犯罪がニュースで報道されることで、怪しく違法なサービスだと感じる人が多いのかもしれません。
2.バーチャルオフィスの住所では銀行口座を開設できないケースもあるため
犯罪収益移転防止法の施行により金融機関での審査が厳しくなったため、バーチャルオフィスの住所では銀行口座を開設できないケースもあります。
ただし、バーチャルオフィスの住所だから口座開設ができないというわけではなく、多くの金融機関はさまざまな要素を総合的に審査しています。
口座開設の審査が通らない主な理由は、以下のとおりです。
- 書類に不備がある
- 事業内容が明確ではない
- 資本金が少ない
- 実績が不足している
大手のバーチャルオフィスは銀行口座の開設実績があるので、調べてから利用するのがおすすめです。
口座を開設できるかどうかは金融機関ごとに違うので、事前に問い合わせてみるのもよいでしょう。
3.バーチャルオフィスが比較的新しいサービスであるため
バーチャルオフィスを利用する人が増えてきたとはいえ、まだ比較的新しいサービスです。
新しいサービスやシステムはわからない部分が多く、最初は問題視されやすい傾向があります。
たとえば、インターネットも最初は「問題があるのでは……?」と思われていましたが、今では誰もが普通に使うようになりました。
時間が経つことで、バーチャルオフィスも自然と受け入れられるかもしれません。
バーチャルオフィスで開業すると違法になる業種
事業を始める際に行政機関の許認可が必要な場合は、バーチャルオフィスの利用ができないケースもあります。
上記の業種の場合は、バーチャルオフィスで開業すると違法になるため注意が必要です。
それぞれ順番に見ていきましょう。
人材派遣業
人材派遣業を行うためには、
- 面積が20㎡以上の事務所があること
- 独立した事務所スペースがあること
などの条件を満たす必要があります。
一般的なバーチャルオフィスでは実際のオフィス空間を借りられないため、条件を満たせません。
有料職業紹介業
職業紹介業の申請の際にも、実体のある事務所が必要です。
住所だけを借りるバーチャルオフィスでは認可を得られません。
古物商
- 古本屋
- リサイクルショップ
など、古物商の事業を行う際には独立した事務所が必要です。
バーチャルオフィスでは条件を満たせないため、認可を得られません。
不動産業
不動産業を開業する場合、宅地建物取引業の免許が必要です。
免許取得のためには、事務所の設置が義務付けられています。
独立したスペースが必要なため、実体のないバーチャルオフィスでは認可を得られません。
士業
- 弁護士
- 税理士
- 行政書士
などの士業を開業するには、それぞれの協会や士業会などへの登録が必要です。
実体のある事務所が登録の条件となるため、バーチャルオフィスは利用できません。
行政書士がバーチャルオフィスを利用することについては、以下の記事で詳しく解説しています。
建設業
建設業を始める際も許可を得る必要があります。
許可をもらうためには、請負契約の見積りや契約締結などを行える実体のある事務所が必要です。
廃棄物処理業
廃棄物処理業を開業する際は、都道府県や政令指定都市の許可が必要です。
許可を得るうえでは、
- 廃棄物を処理する施設
- 事業を継続できる能力
を求められます。
実体のないバーチャルオフィスでは、許可を得ることは難しいでしょう。
金融商品取引業
金融商品取引業の開業には、財務局での登録が必要です。
登録の際には営業所を設置し、法律で定められた標識を掲示しなければなりません。
バーチャルオフィスで標識を掲示することは、基本的に不可能です。
探偵業
探偵業を始める際は、営業所の所在地を管轄する公安委員会に届け出をします。
交付された探偵業届出証明書を営業所の見やすい場所に掲示する必要があるため、実体のないバーチャルオフィスでの開業は難しいでしょう。
風俗営業
風俗営業は、警察に申請をして公安委員会から許可を得ることで始められます。
風俗営業にはさまざまな種類がありますが、設備に関する基準が細かく決められています。
風俗営業の多くは実体のある店舗が必要なため、バーチャルオフィスの利用は難しいでしょう。
バーチャルオフィスで開業しても違法にならない業種
- 一般的な株式会社
- 個人事業主
- フリーランス
などはバーチャルオフィスを利用して開業できます。
一般社団法人やNPO法人もバーチャルオフィスを利用可能です。
実店舗やオフィスを構える必要のないWeb関連のサービスやオンラインショップ、出張・訪問型のコンサルティングなどのビジネスにも向いています。
コストを抑えて事業に必要な住所や電話番号を借りられるため、利用が向いている業種であれば検討してみるとよいでしょう。
怪しいバーチャルオフィスを見分ける3つのポイント
怪しいバーチャルオフィスを見分けるためには、以下のような点を確認しましょう。
それぞれのポイントについて順番に解説します。
1.審査や本人確認の流れをチェックする
契約前の審査や本人確認の流れについて、事前にチェックしておきましょう。
本人確認は、バーチャルオフィスを安全に利用するために必要な手続きです。犯罪収益移転防止法により、運営会社には本人確認が義務付けられています。
契約時に本人確認や審査をしっかりと行うバーチャルオフィスを選ぶことが大切です。
2.住所で検索してみる
- 過去に犯罪に使われたことがないか
- トラブルが発生したことがないか
など、レンタルする住所をインターネットで検索してみるのがおすすめです。
バーチャルオフィスでレンタルできる住所は、複数の会社が利用します。
契約予定の住所に怪しい情報がないか、確認しておきましょう。
3.現地を見に行く
事業を行うために使用する場所であるため、実際に現地を見に行くことも大切です。
建物の外観やエントランスの雰囲気などをチェックしておきましょう。
貸し会議室などを使う予定の場合は、駅からのアクセスも確認しておくと安心です。
バーチャルオフィスによって異なりますが、契約前に内見できるところもあるため、うまく利用するとよいでしょう。
怪しいバーチャルオフィスを避けて安全なサービスを利用しよう!
今回は、バーチャルオフィスの違法性や利用できない業種について解説しました。
バーチャルオフィスの住所を借りて事業を行うこと自体は違法ではありません。
ただし、怪しいバーチャルオフィスも存在するため、慎重に選ぶことが大切です。
信頼できる会社が運営するバーチャルオフィスを選べば、安心して利用できます。
バーチャルオフィスにはさまざまなメリットがあるため、利用が向いている業種の場合は検討してみるとよいでしょう。