例文で学ぶ!係り受けを整えて美しい文章を書く5つのコツ

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係り受けとは?例文で解説

係り受けは、日本語の文章を書くうえで重要なポイントのひとつです。

係り受けが整理されていないと、読者にストレスを与えてしまうため注意しましょう。

この記事では、

  • 係り受けの意味
  • 係り受けを整えるコツ

について解説します。

読みやすい文章を書きたい人は、ぜひチェックしてみてください。

例文で解説!係り受けとは?

係り受けとは、

  • 主語と述語
  • 修飾語と被修飾語

のような、係る言葉と受ける言葉の関係性のことです。

次の例文を読んでみてください。

例文
美しい絵が白い壁の上部に飾られている。

この例文には、複数の係り受けが含まれています。

主語と述語の係り受け

  • 「絵が」→「飾られている」

【修飾語と被修飾語の係り受け】

  • 「美しい」→「絵」
  • 「白い」→「壁」
  • 「壁の」→「上部に」
  • 「上部に」→「飾られている」

この文中の係り受けはシンプルであるため、理解しやすいですよね。

逆に係り受けが多すぎたり、複雑になったりすると、理解しにくい文になるため注意しましょう。

係り受けを整えるなら単文・重文・複文について知っておこう

係り受けを整えるポイント

係り受けを整えるなら、単文・重文・複文について理解しておきましょう。

それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • 単文:主語と述語の組み合わせが1つだけの文
  • 重文:主語と述語の組み合わせが2つ以上あり、対等な関係で並んでいる文
  • 複文:主語と述語の組み合わせが2つ以上あり、主従の関係になっている文

単文には、主語と述語の関係を理解しやすいというメリットがあります。ただし、単文ばかりが連続すると、幼稚な文章になってしまうため注意が必要です。

逆に重文や複文を乱用すると、複雑すぎて理解しにくい文章になるケースもあるため、うまくバランスを調整しましょう。

例文で解説!係り受けを整える5つのコツ

係り受けを整理して読みやすい文章を書くためには、次のポイントに注意しましょう。

  1. 複雑すぎる係り受けは適度に分割する
  2. 係り受けの距離を近づける
  3. 長い修飾語句を先に置く
  4. 受動と能動を使い分ける
  5. ひとつの述語で受けすぎない

それぞれのポイントについて順番に解説していきます。

1.複雑すぎる係り受けは適度に分割する

係り受けが複雑すぎる文は、読者にストレスを与えてしまいます。適度に分割して理解しやすい文章にしましょう。

たとえば次の文を読んでみてください。

係り受けが複雑な文章
相手を困らせるような要求が多いことで有名なAさんの新しい担当になったのは、映画界で活躍する気難しい大御所などからも信頼を得てきた敏腕マネージャーBさんである。

文がとても長く、係り受けも複雑なため、わかりにくいですよね。

どのような構造になっているのか、文を分解してみましょう。

まずは主語と述語を把握します。

  • 主語:担当になったのは
  • 述語:Bさんである

主語に関する係り受けをチェックしてみましょう。

複雑な係り受け(主語)

修飾語が多く、とても複雑であることがわかります。

述語についても見てみましょう。

複雑な係り受け(述語)

こちらも複雑でわかりにくいですよね。

そこで「Aさん」までで句点を打って、以下のように分割してみます。

係り受けがシンプルな文章
相手を困らせるような要求が多いことで有名なAさん。
新しい担当になったのは、映画界で活躍する気難しい大御所などからも信頼を得てきた敏腕マネージャーBさんである。

文が短くなり、かなり読みやすくなりました。

自分で読み返したときに理解しにくい場合は、分割してシンプルな係り受けにしましょう。

2.係り受けの距離を近づける

読みやすい文章を書くうえでは、係り受けの距離を調整することも重要です。

次の例文を見てみましょう。

係り受けの距離が遠い文章
なぜ、10年間も書き続けてきたブログなのに、彼は急に閉鎖することを決めたのだろうか。

「なぜ」という問いを受ける「決めたのだろうか」がなかなか出てこないため、ストレスを感じてしまいます。

「なぜ」が別の言葉に係っているようにも感じられますよね。

以下のように改善してみましょう。

係り受けの距離が近い文章
10年間も書き続けてきたブログなのに、彼はなぜ急に閉鎖することを決めたのだろうか。

係り受けの距離が近づいたため、読みやすくなりました。

係り受けの距離が遠いと誤読される可能性も高くなるため、

  • 主語と述語
  • 修飾語と被修飾語

は基本的には近くに置くようにしましょう。

3.長い修飾語句を先に置く

ひとつの言葉に複数の修飾語句が係る場合、基本的には長いものを先に配置しましょう。

次の例文を読んでみてください。

修飾語句の順序が不適切な文章
彼は、美しい2階建ての大きな庭のある家に住んでいる。

「家」には、

  • 美しい
  • 2階建ての
  • 大きな庭のある

という3つの修飾語句が係っています。

短い修飾語句が先に置かれているため、

  • 美しい2階建て…?
  • 2階建ての大きな庭…?

などと誤読しそうになりますよね。

次のように修飾語句の順序を変更してみましょう。

修飾語句の順序が適切な文章
彼は、大きな庭のある2階建ての美しい家に住んでいる。

長い修飾語句を先に置いたため、意味がわかりやすくなりました。

4.受動と能動を使い分ける

係り受けを整える際には、受動と能動の使い分けにも注意しなければなりません。

次の例文を見てみましょう。

受動と能動の使い分けが不適切な文章
私の書いた文章がWebサイト上に公開している。

「文章」という無生物の主語が、能動的に「公開」するのは違和感がありますよね。

以下のように改善してみます。

受動と能動の使い分けが適切な文章
私の書いた文章がWebサイト上に公開されている。

主語が無生物のときは、基本的に受動態で受けるようにしましょう。

5.ひとつの述語で受けすぎない

ひとつの述語に頼りすぎると、意味がわかりにくい文章になるケースもあります。

以下の例文を読んでみてください。

ひとつの述語に頼りすぎている文章
私の趣味は、音楽や小説やエッセイを読むことです。

小説やエッセイは「読む」ものですが、音楽は「読む」ものではありません。

次の例文のように、正しい組み合わせに修正しましょう。

言葉の組み合わせが適切な文章
私の趣味は、音楽を聴くことと、小説やエッセイを読むことです。

ひとつの述語で受けようとすると、違和感のある文章になりやすいため注意が必要です。

係り受けの関係を整理して読みやすい文章を書こう!

今回は、係り受けの関係を整えるコツについて解説しました。

調子よく書いているときほど、係り受けのミスは頻繁に発生します。

しっかりと読み返して、わかりにくい部分がないかチェックしましょう。

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