行政書士事務所を開業するときに、バーチャルオフィスを利用することはできるのでしょうか?
この記事では、行政書士事務所を登録するときの基準などについて詳しく解説します。
目次
行政書士はバーチャルオフィスの住所で開業できる?
行政書士は、基本的にバーチャルオフィスの住所では開業できません。
行政書士として開業するには事務所が必要で、顧客の個人情報や秘密を保持できる環境を整えたうえで、行政書士会に登録する必要があるからです。
基準は行政書士会によって異なりますが、たとえば東京都行政書士会では、以下のような基準を定めています。
(設 備)
東京都行政書士会行政書士事務所設置指導基準
第3条 事務所の設備は、概ね次のとおりとする。
一 事務スペース及び接客スペースがあること
二 照明及び第五号から第七号記載の機器を作動させるための電源設備及び通信回線設備
三 事務用机・椅子
四 書類等保管庫(容易に移動できないもの、鍵がかかるもの)
五 電話
六 プリンター・FAX・コピー機等
七 パソコン等
八 用紙、事務用品等収納庫又は収納棚
九 業務用図書及び図書棚
上記のような基準があるため、実際の事務スペースがないバーチャルオフィスを利用して登録することはできないのです。
行政書士事務所を開業するためには実際のオフィススペースが必要!
行政書士会に事務所を登録する際の条件について、とくに重要な部分を確認しておきましょう。
1.事務所の設備が整っていること
行政書士会に登録するためには、業務を行ううえで必要な設備を整える必要があります。
- 事務スペース・接客スペース
- 照明・電源設備・通信回線設備
- 事務用机・椅子
- 書類保管庫(鍵付き)
- 電話
- プリンター・FAX・コピー機
- パソコン
行政書士会ごとの基準を調べ、事務用品や棚など、必要な備品を準備しておきましょう。
2.独立性があり秘密を保持できる環境であること
顧客の情報を管理するため、守秘義務を守れる独立したスペースが必要です。
自宅を事務所とする場合は、居住スペースと事務所を明確に区切らなければなりません。
居住スペースを通らずに事務所に入れるようにするなど、空間的な配慮をする必要があります。
3.事務所の使用権原が適正であること
自宅を事務所にする場合、賃貸マンションや分譲マンションのような集合住宅では、契約書や管理規約で住居以外の使用を禁止しているケースもあります。
賃貸物件を事務所として使用するには、戸建て・集合住宅に関係なく、建物の所有者の承諾が必要です。
承諾を得なければ使用権原が適正であるとはいえないため、事務所として使用することはできません。
都道府県行政書士会へ登録の際には、事務所の写真を提出して審査を受けるか、事務所調査を受ける必要があります。
事務所調査は、
- 行政書士業務を行う事務所として問題ないか
- 申請書類と相違がないか
を確認する目的で行われます。
都道府県によって事務所調査の有無は異なるため、事前に問い合わせておきましょう。
行政書士でもバーチャルオフィスの住所を利用できるケース
バーチャルオフィスを行政書士の事務所として登録することはできませんが、バーチャルオフィスの住所や電話番号をホームページに記載して集客に利用することはできます。
ただし、行政書士会に登録した住所とは異なるため、顧客からの信用という点では注意が必要です。
事業が軌道にのって事務所を借りるまで、一時的にバーチャルオフィスの住所を利用するとよいかもしれません。
自宅を行政書士事務所とする際の注意点
行政書士として開業する際、コスト削減のために事務所を借りず、自宅で開業する人も多いでしょう。
自宅を事務所とした場合、月々の家賃がかからない、通勤する必要がない、といったメリットがある反面、以下のようなデメリットも存在します。
- 自宅住所を公開しなければならない
- 打ち合わせなどで自宅に来客がある
女性で一人暮らしをしている場合や家族が同居している場合は、来客を受け入れるのが難しいケースもあるため、バーチャルオフィスの会議室を利用するとよいでしょう。
運営会社によっては、時間貸しの会議室を利用できたり、提携しているレンタル会議室を割引き価格で借りられたりするため、検討するとよいかもしれません。
行政書士がバーチャルオフィスを利用するメリット
バーチャルオフィスを利用することには、以下のようなメリットがあります。
それぞれのメリットについて順番に見ていきましょう。
1.自宅の住所を公開する必要がなくなる
バーチャルオフィスを利用すれば、名刺やホームページなどにバーチャルオフィスの住所を記載できるため、自宅の住所を公開する必要はありません。
自宅住所を公開することで、さまざまなリスクが生じる可能性もあります。
プライバシーを守るという観点から、バーチャルオフィスを利用するのがおすすめです。
2.一等地の住所を格安で利用できる
バーチャルオフィスを利用すれば、一等地の住所を格安でレンタルできます。
多くの顧客を集めることを考えるなら、自宅の住所ではなく知名度の高い住所を利用するとよいでしょう。
行政書士がバーチャルオフィスを選ぶときのポイント
バーチャルオフィスを選ぶときは、次のような点に注目しましょう。
選び方の詳細は以下のとおりです。
1.利用料金
バーチャルオフィスは、一般的に月額1,000〜10,000円で利用できます。
運営会社によって月額料金や入会金、サービス内容は異なるため、目的に合ったバーチャルオフィスを選ぶのがおすすめです。
- 郵便物の転送
- レンタル会議室の利用
など、別途オプション料金が発生するケースもあるため、バーチャルオフィスを選ぶ際にはしっかりと確認しておきましょう。
2.利用できる住所
- 人気のあるエリアの住所か?
- ビジネスのイメージがある住所か?
といった点を確認しておきましょう。
また、打ち合わせ場所としての利用も考えている場合は、駅からのアクセスや建物の立地も重要です。
拠点数の多いバーチャルオフィスには、利用できる住所やレンタル会議室の選択肢が多いというメリットがあります。
顧客に合わせて選ぶとよいでしょう。
3.会議室の有無
会議室の有無についても確認しておきましょう。
運営会社によっては完全個室の会議室があり、顧客の秘密を保持できる環境が整っているケースもあります。
自宅を事務所としている場合、打ち合わせ場所として使用するのが難しいこともあるため、必要に応じてレンタル会議室を利用するのがおすすめです。
行政書士事務所を開業するならバーチャルオフィスを有効活用しよう!
今回は、行政書士事務所を開業するときにバーチャルオフィスを利用できるのか、解説しました。
基本的にはバーチャルオフィスを行政書士の事務所として登録することはできませんが、バーチャルオフィスの住所を名刺やホームページに記載することは可能です。
個人情報を公開したくない人は、利用を検討してみましょう。
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