ら抜き言葉とは、
- 500円でランチを食べれる(ら抜き言葉)
- 500円でランチを食べられる(正しい文)
のように、正しい文から「ら」が抜け落ちてしまった表現のことです。
会話のなかで使用されることも多いのですが、文法的には正しくありません。
ビジネス文書や論文を書くときだけではなく、Webライティングにおいても使わないほうがよいでしょう。
この記事では、
- ら抜き言葉の意味
- ら抜き言葉の見分け方
- ら抜き言葉が許容される場面
などについて例文を使って解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
例文で解説!ら抜き言葉とは「ら」が抜け落ちた表現
ら抜き言葉とは「車を使えばすぐに来れる」のように、可能を意味する動詞から「ら」が抜け落ちた表現のことです。
以下の例文のような表現は、ら抜き言葉といえます。( )内は正しい表現です。
ら抜き言葉を使っても意味は伝わりますが、文法的には正しくありません。
また、会話のなかで使う場合には、あまり気になりませんが、書き言葉として使うと稚拙な印象を与える可能性があります。
メディアにもよりますが、基本的には、ら抜き言葉の使用は避けるほうがよいでしょう。
ら抜き言葉の見分け方を3つのポイントで解説
意識せずに使用していることが多いため、ら抜き言葉は意外と見落としがちです。
以下のような方法でチェックしてみましょう。
1.勧誘の「〜よう」が付くかどうか確認する
勧誘を表す「〜よう」が付く動詞を可能表現にする場合、「〜られる」が付きます。
たとえば、以下の動詞には「〜よう」が付くため、可能表現にする場合は「〜れる」ではなく「〜られる」とするのが正解です。
- 見る → 見よう → 見られる
- 食べる → 食べよう → 食べられる
- 着る → 着よう → 着られる
「〜れる」を付けると、ら抜き言葉になってしまうため注意しましょう。
以下の動詞のように、勧誘を表すときに「〜よう」以外が付く場合は、「〜られる」の形にならないため、ら抜き言葉になる心配はありません。
- 歩く → 歩こう → 歩ける
- 書く → 書こう → 書ける
- 読む → 読もう → 読める
2.未然形にして確認する
動詞を未然形にして「〜ない」を付けることでも、ら抜き言葉になる可能性を確認できます。
方法は簡単です。まずは以下のように動詞を未然形に変形させ、「〜ない」を付けてみましょう。
- 見る → 見えない
- 食べる → 食べない
- 着る → 着ない
- 歩く → 歩かない
- 書く → 書かない
- 読む → 読まない
「〜ない」の直前がイ段かエ段の場合、可能表現では「〜られる」を付けるのが正解です。
次の3つはイ段かエ段のため、可能表現にするときは「〜られる」を付けましょう。
- 見えない → 「え」はエ段 → 見られる
- 食べない → 「べ」はエ段 → 食べられる
- 着ない → 「着(き)」はイ段 → 着られる
「〜れる」を付けると、ら抜き言葉になってしまうため注意が必要です。
一方、次の3つは「〜ない」の直前がイ段でもエ段でもないため、ら抜き言葉になる可能性はありません。
- 歩かない → 「か」はア段 → 歩ける
- 書かない → 「か」はア段 → 書ける
- 読まない → 「ま」はア段 → 読める
3.校正ツールを使って確認する
自分でチェックするのが難しい場合は、校正ツールを活用するとよいでしょう。
たとえば『文賢』を使うと、ら抜き言葉の可能性がある部分を指摘してくれます。
校正ツールですべての間違いを検出できるわけではありませんが、確認作業を効率化できるでしょう。
ら抜き言葉を簡単に改善する方法
「ら」を入れるべきなのか迷う場合は、以下のように「〜することができる」の形に書き換えるとよいでしょう。
- 見れる → 見ることができる
- 食べれる → 食べることができる
- 着れる → 着ることができる
ただし、多用すると冗長な印象の文章になってしまうため注意が必要です。
ら抜き言葉は本当に問題?
ここまで、ら抜き言葉の使用は避けるべきというスタンスで解説してきましたが、そもそも言葉は変化していくものであるため、
- ら抜き言葉を使っても問題ない
- 意味が伝わればOK
という考え方もあります。
今後、ら抜き言葉を使用する人が増えていけば、正しい文法のひとつとして認められ浸透していくかもしれません。
ただし現状としては、
- ら抜き言葉を自然に使う人
- ら抜き言葉に違和感を覚える人
の両方がいる状況です。
「変化していく過程」ともいえる状況ですので、メディアにもよりますが、ら抜き言葉を使わないほうが無難でしょう。
文化庁のWebサイトにも、以下のように記載されています。
「ら抜き言葉」の増加は可能表現の体系的な変化であり,話し言葉では認めてもよいのではないかという考え方もある。書き言葉においても分野によってはその使用例が報告されている。
しかしながら,この言い方は現時点ではなお共通語においては誤りとされ,少なくとも新聞等ではほとんど用いられていない。
文化庁 言葉遣いに関すること
ら抜き言葉が許容される3つの場面
次のような場合には、ら抜き言葉を使っても違和感は少ないでしょう。
- 文中の会話やセリフの部分
- インタビュー記事
- 話し言葉によるカジュアルなメディア
それぞれの場面について簡単に解説します。
1.文中の会話やセリフの部分
以下の例のように、文中に会話やセリフを挿入するときは、ら抜き言葉を使用しても問題はないでしょう。
- 「500円でランチを食べれる」と彼は驚いた
- 「あの日は興奮して寝れなかった」と友人は思い出を語った
メディアにもよりますが、話し言葉のなかで使用される場合と同様、あまり気になりませんよね。
むしろ、ら抜き言葉を使って書いたほうが話し手のキャラクターを的確に表現できたり、会話をリアルに再現できたりするケースもあります。
2.インタビュー記事
インタビュー記事を作成する場合、会話のなかに出てきたら抜き言葉をそのまま使うほうが、
- 話し手の熱量
- 聞き手の興味
などが読者に伝わるケースもあります。
ら抜き言葉を正しい表現に修正すると、会話の熱量やリアリティがなくなる可能性もあるため注意が必要です。
ただし堅いメディアの場合は、インタビュー記事であっても、ら抜き言葉などの話し言葉を使うのは避けるほうがよいでしょう。
3.話し言葉によるカジュアルなメディア
話し言葉を主体としたカジュアルなメディアの場合は、ら抜き言葉を使用しても違和感は少ないでしょう。
- 夜型人間だから朝起きれない
- 魚介類は食べれないって言ったんだけどね
などと、ら抜き言葉をあえて使ったり、助詞(てにをは)を省略したりすると、親近感やカジュアルさを表現できる場合もあります。
ら抜き言葉の使用は基本的には避けよう!
以上、ら抜き言葉の意味や見分け方などを紹介しました。
今後は、ら抜き言葉を使った文章が一般的になる可能性もありますが、現状としては違和感を覚える人も多いため、使わないほうがよいでしょう。
ら抜き言葉を使うと、読者に稚拙な文章だと思われる可能性もあります。とくに、一般的なビジネスメールやWebサイトの記事を書く際は避けておきましょう。
ら抜き言葉と同様に間違いやすい表現として、
- い抜き言葉
- さ入れ言葉
が挙げられます。
次の記事で詳しく解説していますので、あわせて読んでみてください。
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