個人事業主の開業届を出すメリット・デメリット

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個人事業主・フリーランスの開業届のメリット・デメリット

個人事業主の開業届を出すことで、節税効果を高めつつ、赤字を繰り越すこともできます。

一方で、失業保険を受けられなくなるなどのデメリットもあるので注意しましょう。

この記事では、

  • 開業届を出すメリット・デメリット
  • そもそも開業届を提出する義務はあるのか
  • 開業届を簡単に作成する方法

などを紹介します。

開業届を提出するか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

個人事業主・フリーランスが開業届を出す5つのメリット

個人事業主やフリーランスが開業届を提出する主なメリットは以下のとおり。

開業届を出すメリット
1.青色申告により節税できる
2.屋号付きの銀行口座を開設しやすい
3.複数事業の損益通算ができる
4.赤字を3年間繰り越せる
5.個人事業を始めるという自覚が強まる

それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

1.青色申告により節税できる

青色申告により節税できることは、開業届を出す最も大きなメリットといえるでしょう。

青色申告を行うためには、開業届と青色申告承認申請書を提出しなければなりません。

青色申告をすると以下のようなイメージで、

  • 所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険料

がかなり安くなります。

個人事業主・フリーランスが開業届を出すメリット(節税)

上の表は、月収30万円(年収360万円)と仮定したときの見込み納税額を示しています。

青色申告のほうが白色申告より、大きな節税効果を得られることがわかりますよね。

個人事業主やフリーランスにとって、所得税や住民税は大きな負担です。

確定申告ソフトを使えば、特別な資格や知識がなくても簡単に必要書類を作成できるため、ぜひ青色申告で節税しましょう。

ちなみに、確定申告の種類には以下の3つがあります。

  • 青色申告(65万円控除)
  • 青色申告(10万円控除)
  • 白色申告

青色申告(65万円控除)を選択すれば、それだけで所得から65万円が控除されます。

確定申告ソフトを活用すれば申告に必要な書類をほぼ自動で作成できるので、特別な理由がない限りは、最も節税効果の高い青色申告(65万円控除)を選びましょう。

2.屋号付きの銀行口座を開設しやすい

屋号付きの銀行口座を開設しやすくなることも、開業届を提出するメリットです。

屋号を表に出して事業を行う場合、個人名義の口座より屋号付き口座を使うほうがクライアントに信頼されやすいでしょう。

屋号付き口座を開設するためには、開業届などの屋号を証明する書類を求められるのが一般的です。

屋号の登録は、開業届に書いて税務署に提出するだけで完了します。

厳しい審査などもないため、口座を開設する予定がある場合は提出しておきましょう。

3.複数事業の損益通算ができる

開業届を提出して、事業所得として確定申告を行うと、複数の事業の損益を通算できます。

たとえば、ある事業で大きな所得があったとしても、別の事業で赤字が出た場合、所得からその赤字分を差し引くことができるのです。

副業OKの会社であれば、開業届を出して確定申告することで、所得税が還付されるケースもあるでしょう。

損益通算によって所得税が安くなる可能性は高いため、複数の事業を行う場合、開業届を提出するメリットはとくに大きいといえます。

4.赤字を3年間繰り越せる

開業届を提出して青色申告をすれば、赤字を3年間繰り越せます。

ある年の赤字を繰り越せるため、翌年、仮に黒字になったとしても、それまでの赤字を差し引いて申告できるのです。

その結果、所得税や住民税が安くなります。

とくに事業を始めたばかりの頃は、

  • 商品が売れない
  • うまく集客できない

といったことも多く、赤字となるケースもあるでしょう。

事業に慣れてきたら青色申告をしようと考えがちですが、開業したばかりで赤字の多い時期こそ、青色申告のメリットは大きいのです。

ちなみに、白色申告では赤字を繰り越せないため注意しましょう。

5.個人事業を始めるという自覚が強まる

店舗や事務所を構える場合は、事業の形が目に見えやすいため、個人事業を行っているという自覚をもちやすいでしょう。

一方、自宅でフリーライターやイラストレーターなどの仕事をする場合は、事業を行っている自覚をもちにくいかもしれません。

誰にも強制されず自由に働けるのが個人事業のメリットですが、モチベーションを維持しにくい部分もあります。

自分の意識が低いと感じるときは、開業届を提出してみましょう。

開業届を出すことで、個人事業を始めるという自覚が強まるケースもあります。

また、会社員とは異なり、個人事業主には所属や肩書きがありません。

開業届は個人事業主であることを証明する書類でもあるため、提出しておいて損はないでしょう。

個人事業主・フリーランスが開業届を出す3つのデメリット

ここまで開業届を提出するメリットを紹介しましたが、以下のようなデメリットもあるので注意しましょう。

開業届を出すデメリット
1.失業保険を受けられなくなる
2.扶養から外れてしまう可能性がある
3.副業が会社にバレる可能性がある

以下、それぞれのデメリットについて簡単に解説します。

1.失業保険を受けられなくなる

開業届を提出すると、失業者ではなく仕事をしている個人事業主と判断されるため、失業保険を受けられなくなります。

開業届を出した状態で失業保険を受け取ると、不正受給となるので注意しましょう。

現在、失業保険を受け取っている人で、開業しようか迷っている段階であれば、まだ開業届を出さないほうがよいかもしれません。

2.扶養から外れてしまう可能性がある

年間の所得が一定金額以下の場合、社会保険の扶養に入れます。

しかし、開業届を出すと扶養の対象ならない場合もあるため注意しましょう。

扶養対象となる条件は社会保険によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

3.副業が会社にバレる可能性がある

副業NGの会社に勤務している場合は、確定申告書類の提出時に注意が必要です。

基本的には、開業届を出したからといって副業がバレることはありません。

ただし、事業所得として確定申告をすると、会社に副業がバレる可能性もあります。

確定申告をすると、納税金額が記載された「特別徴収税額通知書」が会社に送られるからです。

この通知書には、事業所得や雑所得など、どのような所得があったのかが記載されています。

雑所得であれば問題ありませんが、事業所得と記載してある場合は副業をしていることがわかってしまいます。

どのような書式で記載されるかは自治体によって異なりますが、副業していることを会社に隠しておきたい人は注意しましょう。

そもそも開業届を出す義務はある?

所得税法の第229条には、事業を始めた場合は1ヶ月以内に開業届を提出する必要があると記載されています。

居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。

e-Gov 所得税法

開業届を出さない場合の罰則規定はありませんが、前述のようなメリットも得られませんので、提出するのがおすすめです。

個人事業主・フリーランスは開業届を提出して節税効果を高めよう!

今回は、開業届を提出するメリット・デメリットを紹介しました。

開業届を作成したり、税務署へ提出したりする手間をデメリットと感じる人もいるでしょう。

慣れない作業であるため、不安を感じる人もいるかもしれません。

しかし、開業届は特別な知識がなくても簡単に作成できます。税務署へ提出する際も、厳しい審査などはありません。

開業届の作成方法は、下記の記事で詳しく解説しています。

無料ツールを使って簡単に作成する方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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